新作情報347「紅姉妹」(コレクト)主演:小川美那子/沢木真由美/愛染恭子
                原作・監督・脚本:団鬼六

団鬼六氏の原作による「紅姉妹」がシネマジックより発売になりました。110分の大作、パッケージもイラストで「団鬼六作品」ということで大いなる期待をもって鑑賞しましたが・・・・・、ま、ハッキリ言って期待はずれでした。
「プレイコミック」で連載されていたとのことですが、私は原作は知りませんでした。
一口で言い表すとしたら、「昔のロマンポルノの手法そのもの」といったところでしょうか、ストーリーの展開は凝った作りなのですが、肝心のSM的なシーンとなるとお粗末そのもので、縛りのシーン、バイブやフェラによる調教らしきシーン、SMショーのようなシーンがほんの少しづつ出てきますが、いずれも物足りないばかりか、バイブ・フェラともにミエミエの擬似。
シネマジックからの発売ということで期待していたのですが、ものの見事に裏切られたという感じです。
秋の夜長をブランデーをチビリチビリやりながら、「映画化された団鬼六氏の文学作品」として観るのでしたらともかく、SMビデオを真面目に考察しあう我々には大いに不満の残る作品でした。

   (以上 てんさん 2002年10月アップ)

 

(Larryさんの書き込み 2003年4月)
DVDの特典映像にメイキングシーンが収録されていますが、それを見ると、今回の作品で前バリを使用していることがわかります。したがって、この作品はAVと言うよりも劇場公開用の映画として見るべきと思います。にっかつロマンポルノを彷彿とさせる作品ですが、それ以上にソフトです。最近、ソフトSMと言うと、合意の上で縛られた女への、気持ち良くさせる行為と言うイメージを抱きますが、団鬼六が言うところのソフトSMは、非合意型であるが、肉体的苦痛を与えることを核とするのでなく、情緒豊かな「恥じらいの美学」を堪能するものだと思います。
この作品の原作は『肉体の賭け』で、老舗料亭の女将・絹代(小川美那子)とその妹・久美子(沢木まゆみ)が、不渡りが出そうなその料亭を何とかしようとして、悪徳金融業者の罠にはまり辱めを受けるというストーリーです。1982年にも志麻いづみ主演、渡辺護監督のにっかつ作品『団鬼六・黒髪縄夫人』として劇場公開されています。原作の雰囲気を忠実に伝えているのは、もちろん監督を団鬼六自らが担当した『紅姉妹』の方です。
特典映像のインタビューシーンで団鬼六が言っていますが、彼の原作が映像化されたものの中で、満足できたものは一本もないそうです。私も同感で、これは監督が団鬼六の美学を理解していないことや、見せ場としてハードなシーンをたくさん入れるようにとの会社側の意向もあったためでしょう。
現在のAVもそうですが、にっかつロマンポルノにおいても、SM作品に一つの決まり事が存在していたように思います。それは緊縛方法や責め方にヴァリエーションを持たせることです。後ろ手胸縄縛りしか出てこない作品と言うのはほとんど無いと思います。また出演女優のOKの出なかった場合を除き、猿轡、蝋燭、鞭といったアイテムは必ず登場するのではないでしょうか。そう言った視覚的なことで観客の興味を惹き、様々な嗜好を持った人にも対応しようとしたのでしょう。
しかし、『紅姉妹』にこう言ったヴァリエーションを期待してはいけません。団鬼六はわざと専門の縄師を起用せず、シンプルな縛りに徹しています。また、ボールギャグ、鼻フック、蝋燭と言ったものも出てきません。
この作品で堪能すべきは、高貴なるものを引きずり降ろす時の快感と言ったものでしょうか。絹代や久美子にとって、悪徳金融業者や絹代の夫の愛人のソープ嬢(愛染恭子)たちに全裸を晒すと言うことは、鞭打たれる痛みより苦痛なのです。久美子が、得意とする空手で痛めつけた金融業者の一人に、生まれたままの姿になって詫びるため「パンティを脱がして下さい」と言わされるシーンに、団鬼六が表現しようとしたことが集約されていると思います。
また、この作品はセットのつくりや細かな演出、出演者の演技もしっかりしていて、AVに見られるいい加減さはありません。演出面の優れた点を一つあげると、絹代は全裸後ろ手胸縄縛りの縄尻を天井に繋がれて立ち、壁の間に通した縄を跨がされて監禁されています。そのシーンは久美子が辱められるシーンを挟んで映るのですが、そのたびに絹代の元に誰かやってきては、股間に通された縄を引っ張られたり、放尿させられたりします。絹代は一人きり、監禁されている場所で長時間身動きすることも許されず、たまに誰かが来たと思うと辱められ、また一人きりじっと股間に縄を感じながら、同じ姿勢をとり続けるしかないと言う状況が良く表現されています。この状況そのものが、団鬼六が求めているSMなのだと思います。
小川美那子、愛染恭子、港雄一、野上正義と言ったベテラン陣に混じって、沢木まゆみも非常に良い演技をしています。裸で縄掛けされてしまった彼女が、唇を振るわせ、伏し目がちに金融業者に詫びを入れるシーンなど、屈辱感が良く表現されています。彼女はルックス的にも申し分なく、今後が期待されます。
女を縛って蝋を垂らし、鞭で叩くのがイコールSMと考えていたり、性的興奮を求める人には向かない作品です。もちろん、そう言う嗜好が悪いという訳でなく、現に私もこの作品を見た後、アートビデオの『猟奇淫獣姉妹 奈落の咆哮2+3』を見て興奮していました。しかし、同じような作品がない分、私にとってはとても貴重な作品であることも確かです。制作費用や時間の点でなかなか難しいと思いますが、こう言う作品のリリースがもっと増えることを期待しています。
『紅姉妹』の不満点も付け加えておきます。
1. 原作で立花絹代は27才と言う設定になっている。これを小川美那子にやらせたのは、ちょっと無理な気がする。ただ、彼女並みの演技力を備えた女優が他に見つからなかったと言うこともあるだろう。また、沢木まゆみの演技に磨きがかかったのは、彼女や愛染恭子の指導によるところがあるのかもしれない。
2. 空手の腕が立つ立花久美子を、初対面の川村たちの前で型を披露することで表現している。これはちょっと不自然なので、彼らを投げ飛ばすシーンで表現するべきと思う。
3. 絹代が川村たちの所で初めて全裸にされた時、彼らの酒の肴として、柱に縛り付けられた裸体をじろじろ見られるシーンが省かれている。川村や愛子たちに緊縛された全裸を初めて晒し、羞恥と屈辱に顔を歪めるシーンを入れるべきだったと思う。
4. 久美子の剃毛シーンが省かれている。生まれたままの姿になって詫びを入れると言ったのだから、「女だてらに空手などを使って申し訳ありませんでした。生まれたままの姿になって皆さんにお詫びします。ですから、久美子の下の毛をきれいに剃り取り、生まれたままの姿にして下さい」などの台詞を言わせた後、大勢の前で屈辱に唇をかみしめながら剃毛されるシーンが無かったのは残念である。
5. 全裸で緊縛された姉妹同士が対面するシーンが省かれている。恥ずかしい姿で対面させられ、嗚咽をこらえるようなシーンを入れるべきだったと思う。
6. 原作でも省かれている、絹代が小口債権者の前で詫びを入れ、剃毛されることになっているシーンが入っていない。剃毛までいかなくとも、大勢の債権者の前に全裸の絹代と久美子が引き出されたシーンで終わってくれれば、よりドラマチックになったと思う。
ずいぶんと長くなりましたが、今回はこのへんで。