スローピッチソフトボール


◆最もアメリカ野球に近いボールゲーム

 アメリカには軟式野球がない。
 アメリカ人にとってボールゲームは、「白い革を赤い糸で縫いあげた硬い球」でするものだ。
 町場で一般人が行うために、日本人はボールをゴムにした。しかし、アメリカ人は違った。投球を下手投げにした。それがソフトボールだ。
 ムーンライト・リーグ・ソフトボール(以下M.L.S.)では、ボールゲームでアメリカ野球らしさを表現するために、アメリカ人が町場でおこなうボールゲームであるソフトボールを採用した。

 

◆ソフトボールは女の子のスポーツ?

 ソフトボールというと、女の子が野球の代用としてやっていると思っている人がいる。これは大きな誤解である。ソフトボールは老若男女が楽しめるスポーツだ。

 

◆ソフトボールのボールは硬い

 「ソフト」という言葉や、学校でやったソフトボールの影響で、ソフトボールのボールは軟らかいと思う人が多い。しかし、アメリカのスポーツ用品店で「ソフトボールください」と言ってごらん。12インチの硬球を出してくるはずだ。ベースボールが9インチだから2まわりほど大きい硬球である。アメリカには、日本でお馴染みのゴム製ソフトボールはない。

 

◆もう1つのソフトボール「スローピッチ」

日本でソフトボールというと「下手投げだが、剛速球。プロの野球選手もお手上げ」といったイメージで定着している。しかし、それは、ソフトボールのほんの1面にしか過ぎない。実は、ソフトボールには2種類のスタイルがあるのだ。

始めに書いた剛速球のソフトボールは「ファーストピッチ」。そしてもう1つが「スローピッチ」である。

 スローピッチは、日本にはほとんど紹介されていない。しかし、アメリカではソフトボールといえばスローピッチというほどメジャースポーツである。M.L.S.ではスローピッチを採用する。

 

◆投球はスローな山なり

 スローピッチは、投球がスローな球に限定されている。何をもってスローというか?それは「投球は6フィートから12フィートの空間をアーチ状に通過するものに限る」というルールをもってスローとなる。1度、約1.8mまでふわっと投げ上げられた、山なりの(下手投げから投げられる)投球ということだ。

 

◆なぜスローピッチか?

 それではなぜ、投球をスローにするのか?

 それは、誰でも打てるようにするためである。山なりの球だから、バットに当たる。これはプリミティブなボールゲームの快感である。そして、派手な打撃戦になる。

 さらに、ボールがバットに当たるということは、それだけ守備機会も増え、ファインプレーも増えるということだ。「休日を1日つぶして草野球に行ったが、1度もボールが飛んでこなかった」なんてことはない。 やっていても、観ていても楽しい、アクティブなボールゲームだ。

 

◆攻守のバランスがとれ、スピーディーな展開

 打ちやすい投球なら、「アウトになんないんじゃない?試合、終わんないんじゃない?」また、「ピッチャーは面白くないんじゃない?」と思うかもしれない。しかし、守備側のアドバンテージもちゃんと用意されている。

 まず、野手が10人いる。10人目の野手は、ショートフィルダーといって好きな場所で守れる。

 試合時間に関しては、2ストライクの後ファールを打つと三振。バント、盗塁、離塁の禁止。パスボール、ワイルドピッチで走者は進塁できない。といったルールがあり、単純でス sーディーな試合展開になる。7イニングが1時間前後で終わる。

 また、巧みなコントロールと打たせて捕るピッチングで、完封してしまうピッチャーもいて、決して打高投低のゲームではない。

◆男女混成で楽しめる。年齢差を感じない。

 緩やかで山なりの投球が義務づけられているスローピッチは、男女の差があまりでないスポーツでもある。また、年齢によるハンディもあまり感じない。

 また、エクストラヒッター(EH)という打つだけの選手を起用できるため(DHのように、ピッチャーが引っ込む必要は無い。EH制を起用すれば1チーム11人)、守備の苦手な選手も出場できる。

 だから、女子選手や年齢のいった選手も、若い男子選手と同じチームで、ハンディ無しに参加することが出来るのだ。